どこまでも、蒼く


偶然、今日の昼間に陽菜と書店で会った。
偶然なのか運命なのか、自分でも謎なのだが、俺達は写真集コーナーで会い、二人で写真集を見ていた。


そのとき、どこからか声が聞こえてきたのだ。


『…陽菜?』


馴れ馴れしく陽菜のことを名前で呼ぶ少年。
眩しいくらい輝いて見える少年を、俺は直視出来ないでいた。

違う。
一人で焦っていたのだ。こいつは陽菜のなんなのか。
陽菜とどういう関係なのか。
俺は何か追われていたのだ。


『…紘人?』


その少年に向かって、陽菜は静かに名前を呼ぶ。俺の知らない名前だ。


また、焦りを感じる。


『やっぱりな!まじ探したって!陽菜が教えてくれた住所、間違ってたぞ?さっきここに入ってく陽菜見つけてさ』


笑顔で近寄ってくる紘人という少年。
また眩しい笑顔にやられそうになる。


そして話の筋が分からない。
俺は黙ったまま、二人の会話を聞いていた。



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