どこまでも、蒼く


『あれ?間違ってた?ごめんね。でも何で紘人がここにいるの?』


…だめだ。
聞いていても話の内容が掴めない。
さっぱりだ。

気を紛らわすために、本を取り出しては開いて、それをしまって。
その繰り返しばかりをしていた。

心の中はかなり焦っているのに。
冷静さを装っている俺。自分でも馬鹿らしくなってくる。


『俺、陽菜のあと追ってきた。お前を一人にするのは安心出来ねぇし』


『大丈夫なのに…心配性なんだから』


『ま、いいじゃん。これから一緒に住むから!宜しくな!』


…何だって?
一緒に住む?
有り得ねぇだろ…


焦りと共に、嫉妬が増えていく。
もうこの空気に限界のようだ。


『おい、陽菜。そいつ誰?』


限界になった俺は、陽菜たちの会話の中に入り、質問をする。

そして陽菜はくるりと俺の方を向いて、紘人という人物の紹介を始めた。


『遅れちゃってごめんね。この子は、陽菜の双子の弟の蒼井紘人!』




…は?双子の弟!?


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