あたしと彼と白いキャンバス
保健の先生の見立てでは、油絵のにおいが原因だろうとのことだった。

あたしもそう思う。

中学の頃、油絵の製作中に換気を怠って、頭痛と吐き気に襲われたことを思い出した。


先輩は保健室に運ばれた。




白い壁。白いカーテン。薬品のにおい。

白いベッドに寝かされた先輩は、静かな寝息を立てている。

青白い顔は、少しずつ生気を取り戻しつつあった。


「もう大丈夫ね」


人の良さそうな中年の養護教諭が、先輩の顔色を見て明るい声を出す。

あたしは美術室から先輩の学生鞄を取ってきたところだった。
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