あたしと彼と白いキャンバス
篠宮先輩の薄い唇がふっと笑みを浮かべると、新太郎先輩も口角を上げた。


「ふたりでなんの話をしてたのかな」

「べっつにー?」

「俺の悪口でも喋ってた?」

「ひみつ。な、チビちゃん」

「…ふうん」


ふたりの喧嘩は続いてるのかもしれなかった。

屋上の空気が張り詰める。



篠宮先輩は足を踏み出した。

扉の前にあった身体が一歩ずつこちらに近付いてくる。


長い足が優雅に動いて、
こんなときでも美しさを保ったまま。
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