あたしと彼と白いキャンバス
あたしの手元のパウンドケーキを見て、見下すように嘲笑する。



「ああ、餌付けしてたのか」




なんでこの男はこんなことを言うんだろうとか、

あたしはどうしてこんな男が好きなんだろうとか、

他人の手作りケーキを餌呼ばわりするなんてありえないだとか、

酷い言葉とともに吐き出された息の白さが儚くて綺麗だとか、

今すぐいなくなってほしいとか、

今すぐ屋上から飛び降りてこの男の心を傷つけてやりたいだとか、

それならばあたしの手でこの男を殺してしまいたいだとか、




身体の奥からどっと溢れ出た感情に突き動かされて、あたしは篠宮先輩に跳びかかった。
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