あたしと彼と白いキャンバス
「――結ちゃん!?」

「小早川!?」


志乃と馬鹿女たちがあたしを見て声を上げる。

その場は一瞬で驚きに包まれた。




あたしの中で熱い血がうるさいくらいに音を立てて流れて。

周りの動きがまるでスローモーションのように見える。




あたしは女のうちのひとりを突き飛ばし、壁に押し付けた。


「い…っ」


傷んでいる茶髪を右手で掴むと、女は表情を歪ませる。


「小早川!」

「放せよこのチビ!」


女たちの感情は驚きから怒りに変化し、あたしに突き刺さる。
< 220 / 321 >

この作品をシェア

pagetop