あたしと彼と白いキャンバス
志乃のそばにいないあたしでも見えていることを、こいつらは見ていない。



「志乃はいい子なんだよ!」



志乃はこいつらともあたしとも違う。

優しいから、人に慕われてるんだ。



「ぶってるんじゃない。本当にいい子なんだ。そんなこともわかんないで、志乃の友達面してんじゃねえ!」



志乃がイジメに参加できるはずない。

あたしが虐められているのを見て心を痛めて、きっと自分を責めていた。


そういう子だ。




『おはよう、小早川さん』


柔らかな笑い方をする、女の子らしい女の子。

無愛想なあたしに話しかけてくるのはいつも彼女だけだった。
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