あたしと彼と白いキャンバス
「千里には黙っててやるから、もうイジメなんかやめろよ。な?」



茶髪女が躊躇いがちに頷くと、先輩の手がその頭を軽く撫でた。


「ん、上出来」


女の顔が泣きそうに歪む。




たったあれだけの時間で、
心を掴んだ。

魔法のようなことをやってのける男だ。




――チャイムが鳴る。


茶髪女たちは無言のまま新太郎先輩に頭を下げ、バタバタと廊下を走っていった。

あたしと志乃と先輩は階段の下に残ったまま。


「…屋上行くかー」


俯いたまま口元を押さえている志乃の肩を軽く叩き、先輩が言った。
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