あたしと彼と白いキャンバス
先輩は大切なものを扱うように静かに絵を持ち上げる。




「…これは、はるな先生のことを考えて描いた絵だ」




そう囁いた先輩の声は柔らかなのに、あたしの心臓を鋭く刺す。


でも、わかった。

どうしてこの絵がこんなにあたたかいのか。


篠宮先輩のはるな先生への気持ちが、あたたかいからだ。


「――これは、先輩の本当の絵なんですね」


あたしの言葉を聞いた先輩は目を丸くして、それからぱちぱちと瞬きをする。


「…そうかもしれない」


はじめて気づいたのだろうか。

先輩はじっとその絵を見つめた。
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