~LOVE GAME~

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駅で貴島君と別れ、トボトボと家路につく。
その足どりは重い。
好意を持ってくれていた人を振るって結構精神的に来るなぁ。
そう思いながら、家までの道のりを歩いていると、「デート帰りな割には暗いじゃねぇか」と後ろから声をかけられた。
振り返ると買い物袋をぶら下げたお兄ちゃんがニヤニヤしながら立っていた。

「お兄ちゃん……」
「デートはつまらなかったのか?」

そう聞かれて首を横に振る。つまらないことはなかった。デート自体はとても楽しかったのだ。

「違うけど……」
「じゃぁ、あの男と別れたんだろ」

鋭い指摘に顔を上げて驚く。

「えっ!どうして……」
「だってお前、あの男といても楽しそうじゃなかったし」

毎朝迎えに来ていたときの私の様子を言っているのだろうか。
そんなところを見ていたなんて……。
私、そんなに顔に出ていたのかな……。

「なんか無理に笑っている顔してた。だから、あぁ楓はこの男には恋愛感情はないんだろうなって思っていたよ」
「そうだったんだ」
「まぁ、お兄ちゃんとしては変な虫が取れて嬉しいけどな」

虫って……。このシスコンめ。
私はハァとため息をつく。お兄ちゃんですら感じたんだから、貴島君はずっと感じていたんだろうな。
本当、悪いことをしてしまった。
お兄ちゃんと肩を並べて歩いていると、「あっ」と何かを思い出したようだった。

「そうだ。お前が出かけてすぐに、人が訪ねてきたぞ」
「人が訪ねてきたの? 誰?」

お兄ちゃんはニヤッと笑う。
その笑いに、眉を潜める。

「どっかで見たことあると思ったんだ。あいつ」
「あいつ?」

お兄ちゃんは私を抜かしてサッサと歩いていき、ゆっくり振り返る。
名探偵が推理を日披露するかのようだ。

「俺、人の顔は忘れないんだ。成長していても気が付いたぜ。あいつ、昔、一度だけ公園でお前と遊んでいるのを見かけたことがあったんだ」
「え、それって……」
「子供の頃から綺麗な顔立ちしていたから、余計に印象に残っている」

まさか、龍輝君?
龍輝君が私を訪ねてきたの?

「楓さん、いますか? って走ってきたのかぜーぜー言っててさ。夕方に帰ってくるはずだとは伝えたけどな」

足が止まる私にお兄ちゃんは微笑んだ。

「お前の本当の相手ってあいつだろう? 会いにでも行ったら?」

そう言うと、じゃぁな、と手を振って先に行ってしまった。



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