不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
離れていく夏樹先輩を引き留めた。
「道岡先輩に、ありがとうございましたって伝えててくださいっ!」
少し大きな声で叫ぶと……
「わかった!」とニコニコしながら、教室に夏樹先輩は戻っていった。
道岡先輩にちゃんと思いが届くか不安だけど、お礼だけでも伝えたかったから……
司先輩のカバンと自分のカバンをギュッと握りしめ、空き教室に走った。
「司先輩っ!!」
机になだれ込むようにして、寝ている司先輩。
「大丈夫ですか!?」
すぐに駆け寄り、肩を軽く揺らした。
「……ん、鈴加?」
「帰りますよ。家まで送ります」
コクッと司先輩がうなずく。
それから司先輩を支えながら、司先輩のマンションに着いた。
家にはお母さんもいなくて、とにかく司先輩をベッドに横にならした。
「はぁ―……」
苦しそうに息を乱す司先輩。
おでこを触ると、驚くほどに熱い。