キミを想って泣いた日。


中学校の入学式。
私は、ドキドキしながら桜が咲いている道を歩いていた。
私の前にも後ろにも、同じ制服を着ている子がたくさんいた。
 
「おい尚史、学校まで走ろうぜ!」

「おう!」

そんな声がふいに聞こえた。
どこまで子供なんだろう。
私は少し呆れながら、ゆっくりと桜並木の学校の坂を上っていた。
そのとき、1人の男の子が私にはかっこよく見えた。
その男の子は、無口でクールだった。

「ひろ~、クラス同じだったらいいな」

「お前と同じクラスとかマジ嫌やし」

ふざけた口調でやりとりしていた。
男の子の名前は『ひろ』と言うらしい。

「まなちゃーん♪」

「りえちゃん!!!!」

この子はりえちゃん。藤雪 梨亜。
私の小学校からの親友くん。

「ドキドキするね~っ」

「同じクラスかねぇ?」

そんなことを思いながら、一緒に坂を上っていった。

「なんか、もうクラス出されてるよ」

「マジ?!行こう行こう~」








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