死に神ゲーム
「お嬢様・・・一から順にご説明下さい。誘ってきたのは勿論のこと、静の方からですよね」
「ええ。始めは断ろうと思っておりましたのよ」
「ではなぜ?」
「・・・先生が見つかったのは、もう知っておりますわよね」
「はい。ニュースで拝見致しました」
「静・・・落ち込んでおりましたの」
断ろうと教室まで行ってみれば・・・誰とも話そうとせず、窓の外をぼんやりと眺めていた。
気になって近くにいたクラスメートに訊ねれば、先生の事で落ち込んでいると・・・。
「高野様と静が仲がよろしかったのは、お嬢様もご存知だったでしょう。今更後悔しておいでで?」
「後悔・・・・・・それはないですわね。ただ、あの静をあんなに落ち込ませたのは自分だと思いますと・・・心はいたみますわね」
思わず声が沈んでいく。
いつもいつも煩わしい程明るい静が、あそこまで落ち込むのを目の当たりにしたら・・・断ることなんか、できなかった・・・。
「私はゲームをしていますけど・・・心がないわけじゃありませんわ・・・・・・」
「ええ。逆に、あるからこそ、ゲームをしているのでしょう?」
言った紬に顔を上げるが、相変わらず前を向いたまま。
「あのゲームは、単なる娯楽ではございません・・・お嬢様にとっても、私にとっても。だからこそ私は、利害の一致であなた様に誠心誠意お仕えしているのですから」
赤信号に車を止めた紬が、にっこり笑いながら振り向いた。
「情があるからこそのお嬢様ですからね・・・それが無くては、私が仕えるに値いたしません」
利害の一致・・・情があるからこそ・・・か。
無表情のまま見つめ返しついた私は、ふ、と口元をゆるませた。