青空のむこうに~バスケに恋して~
「…何してんの?」
「別に。アンタに関係ないじゃん」
サエのとこまで自転車を押して、聞くとふてくされたような返事がきた。
まあ、確かに関係ないけど。
「…関係ないけど、泣きながら走ってたら誰だって気になるし」
「はあ?私がみっともなく泣くわけないじゃん。アンタじゃあるまいし」
問いかけても強がった答えしかこない。
私は深いため息をつく。
やっぱり、サエは助けを必要とはしていない。
これ以上気にしても仕方がないか。
「…なら、帰るよ。気をつけて帰りなよ?」
私は方向転換をして自転車にまたがるとペダルに足をかけた。
「…笑いたいんでしょ?ざまーみろって」
背を向けたとたん、サエがつぶやくようにそう言った。
振り返りもせずに私はうなずく。
「言ったじゃん。やった事は自分に返ってくるんだって。階段から蹴落とされなかっただけありがたく思えばいいじゃん」
「…何よ…偉そうに!アンタなんか桐沢君やマホがいなければ、ダメな人間のくせに!」
「…確かに。でも、支えてくれるのなら私は遠慮しないで寄りかかるよ。サエみたいに私は強い人間じゃないからね」
淡々と言うと、サエの言葉が止まった。