青空のむこうに~バスケに恋して~
振り返らなかったけど、サエが涙をこぼしてるのが息遣いでわかる。
何の涙だか私にはわからない。
でも、彼女にはプライドがあってその涙を私だけには悟られたくないはず…。
「…じゃ、私は帰るよ。また明日。ちゃんと部活に出なよ?」
「ふざけんな!偉そうに…っ!」
タッタッタ…とかけだしたサエの足音が遠くなる。
サエがいなくなってから私は初めて後ろを振り返った。
今の彼女に何を言っても聞き入れてはくれないだろう。
私はハンドルをにぎりなおすと、自転車をこいで家へと帰った。
「おはよー!マサシ!」
次の日。
学校へ行くと、驚いた事にマサシが来ていた。
私より先に教室に入ったサエがマサシの元へと駆け寄っていく。
昨日の涙はどこにもなく、いつものサエだった。