また、明日~天使の翼を持つキミへ~
「んじゃなぁ。また明日」
背中越しに手を振った親太郎は、門を開け一度あたしを振り返った。
「ちゃんと寝てなさいよ」
「ヘイヘイ」
眉間にシワを寄せ笑った親太郎。
あたしはいつものように、バイバイと手を振った。
「…え、熱、ですか?」
翌朝。
親太郎の家を訪ねると、おばさんは困った顔をしてこう言った。
「そうなのよぉ。昨日、熱中症で倒れたんでしょう? 多分、それで熱が出たのよぉ。学校には欠席の連絡はしてあるから、何かプリントがあったら持ってきてくれる?」
「わかりました」
「ごめんねぇ。あの子、今までに全く風邪なんてひいたことないでしょう? だから、結構キツイらしくって」
「そうだよね……大丈夫かな?」
「まぁ、今日一日寝てれば大丈夫だと思うけど。わたし、今日仕事が遅くなるから、学校終わったら、少し様子見ててくれる?」
「はい。あたし、暇なんで、たまには親太郎の看病してあげます」
笑いながら言うと、おばさんは『助かるわ』と、あたしと同じように笑った。
親太郎んちの玄関を出て、2階を見上げる。
すると、親太郎が窓からこちらを見下ろしていた。
ベッドから起こした上半身は、猫背になっている。
相当キツイんだろうな。