最終列車


「そろそろ帰ろうか?」と久美。

そうだね、と頷くと店を出て帰路に就く。

太陽も西に傾いて、町をオレンジに染める。



そっと久美の手を握ると、久美は目を合わせて微笑んだ。

手を繋いでいると安心するんだ。

人と人の繋がりをしっかりと感じることができるから。

繋がっていないと、離れていってしまうのではないかと不安になる。

それは考えすぎなのかもしれないけれど……。




しばらく道なりに歩くと、T字路に突き当たる。


「じゃ、またな」

「うん。また明日」


俺は左に。久美は右に。

そして二人はそれぞれの道を歩き始める――。





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