ルイレン
出会い
6歳の夏。

私の誕生日プレゼントを、お父さんとお母さんとデパートに買いに行った帰りのことだった。

「おとーさん、おかーさんありがとう。」

「大切にするのよ。」

ほほえましい会話が、今でも頭の中に残っている。

この後に起こる悲劇など、きっとだれも予想できなかっただろう。

「アイスクリームが食べたい!」

そう私が言うと、

「だめよ、ケーキがあるじゃない。」

と、お母さんが言った。

「まあまあ、年に一回の誕生日なんだからいいじゃないか。」

と、お父さんは言った。

あの時、わたしがアイスクリームなんてせがなまなければ、こんな悲劇は起こらなかった

のかもしれない。

もう少しで家なのに、と言う所で、私のわがままで遠回りしてコンビニへ行った。

コンビニへ着いて、中に入ろうとしたとたん、私の目の前は真っ暗になった。

「・・・・・!!」

「~~~~~~~!!!」

・・・・?外がなんだか騒がしい。

私はあれからどうしたのだろう。

すると、遠くの方から

「由亜!!」

と聞こえた。

私は少しずつ目を開いた。

そこは見覚えのない場所だった。

ただ、病院だということがわかった。

なぜ私が病院なんかに居るのだろう?

どこも痛くもないし、具合が悪いわけでもないのに・・・。

すると、私のほおに大粒の水が降ってきた。

私は上を向くと、お母さんが目をはらして泣いている。

いったいどうしたのだろうと思い

「おかーさん、どーしたの?」

聞いてもお母さんは、ただただ泣くばかりだった。

「早く家に帰って誕生日会やろーよー」

すると、お母さんはひと言つぶやいた。

「お父さん、死んじゃった。」

当時の私には、「死」という事がどういうことなのかよくわからなかった。

けれど、普段泣かない母が泣いているということは、きっと大変なことが起きたのだろう

と、幼かった私にもそれだけはわかっていた。
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