Sweet silent night


「どこか行きたいところは?」


シートベルトを締めながら彼が尋ねた。

…急にそんなこと言われてもなぁ。


「…楽しい場所ならどこでも」


とっさにはこれくらいしか言えなかった。


「楽しい場所か…じゃあ一緒にお酒でも飲みます?
お姉さんがどんな人なのか、もっとお話しして知りたいな」


間をおかずにそんな返しができるのがすごいなと思った。


「いいですよ」


咄嗟にうまい返しはできないけど、せめてもの作り込んだ屈託のない笑顔と同意の言葉で相手への警戒心がないことを示す。


別にこの人と寝ようが寝まいが関係ない。
だって…どっちに転んだって今日がこれ以上悪い日にはなり得ないから。


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