Voice〜彼の声〜



香坂の後ろをそんなことを思いながら歩いてると、香坂は立ち止まった。


俺も立ち止まり、周りを見渡すと想像もしていなかった光景が目の前に映った。




「…びっくりした顔してる」


と言われ我に返る。



いや、だって、びっくりするだろ。



俺の今までの気持ちはどこに、誰にぶつけたらいいんだよ。



「創ちゃん、逢いに来たよ」


そう言ってしゃがみ込む香坂に目を向け、"創ちゃん"に視線を移す。





『黒崎家の墓』


と書かれた、黒い光沢のある墓石には「享年○年ニ月十五日 黒崎創」と記載されていた。



< 182 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop