『約束』、
私はその見覚えのある紙に

いち早く気付き

森野に手首を掴まれていた事も忘れ、

無我夢中でその紙を

取り上げに行こうとした

しかし固定されていて、

動く事もできなかった…

よりにもよって、

一番それを

見られたくなかったと思っていた

谷口が口を開いた。

「吹雪…これ……。」

それは驚きと言うよりも、

寂しい声に近かった。

私は何も答えられなかった。

…いや、答えたくなかった。

谷口は続ける。

「お前、ひょっとして…あの日からずっと…時間が止まってたのか……?」

涙が、止まらない。

自然に出る…

あぁ、涙腺がかなり弱った気がする。

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