『約束』、
クラスの笑いが収まった後、

竹島翔がふいに言った。

「そういえばさぁ。俺らん時と先輩達の入学式では違う事が一つあったよな。」

その言葉に谷口は

ピクッと反応した。

それに誰一人気付かずに

周りは話を続ける。

「あー…あったあった!校長の長い話のときに…。」

岡林明が目をパッチリ

開いて言った。

「そうそう。あの時に俺寝かけててさぁ、急にバタンって音した時は目ぇ覚めたよ。」

竹崎祐も

照れながらも言う。

「でも、入学式の途中に入り口から音がしたもんね。」

阿部瑠奈ちゃんも

フフッと笑いながら言った。

「あの時はもう、校長先生の話どころじゃなかったよ。」

前田由香も

口を大きく開けて

ニコニコして言う。

「そりゃそうだろ。入学式当日ってのに一人ずぶ濡れの奴が堂々と立ってんだもんな。大遅刻して来たし、見ちゃうだろ。あんなん。」

森野はサラッと口にした。

「あれ。誰だか知ってるか?」

谷口が本当に真剣な顔で

皆に尋ねる。
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