『約束』、
「それが分かんないんだよねぇ。」

岡本恵ちゃんが

困ったように言った。

「だよね!だって次の日にはその子いなかったもん。」

福島優菜ちゃんも、

その話に興味を持って言った。

「入学式ん時、一年六組の方に座ってた気がする…。」

田邊薫ちゃんも

記憶を探りながら

言ってる様子だ。

「でも、一年六組の皆に確認したけど全員違かったよ?あんなに髪長い子もいなかったし…」

村山綾乃ちゃんはハッキリと言った。

「それは私でも聞いた事あるよ。幽霊ってウワサもある。」

石本由美ちゃんは

怖い話が始まるかのように

そっと言った。

「あれは、幽霊なんかじゃない。」

谷口はぎゅっと

拳を握り締め、

少し間を置き言う。
「入学式当日に遅刻してきた上にずぶ濡れで入り口に立ってた奴は…吹雪なんだ。」

教室が氷のように冷たくなり、

誰も言葉を発することは

出来なかった。



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