『約束』、
「何で?すぐ分かる事でしょ?吹雪ちゃんだけが過去を背負うのは可笑しいよ。吹雪ちゃんだけが、人との付き合いを制限するのは可笑しいよ……。」

麻里ちゃんは

ようやく涙が止まったが、

横目でベッドを

見ながら私の顔も見ず言った。

「私は信じる事が、友達だと思う…。」

私は拳をぎゅっと

強く握り締めて、

静かに言った。

「じゃぁ信じたら誰でも許すの?」

麻里ちゃんは

ふいっと顔を上げ、

目を大きくして聞いた。

「その場所で笑ってられるなら……。」

私は苦笑いして答えた。

「じゃぁ何で今、信じれるような気がした上島の事、この現実は認められないの?」

麻里ちゃんは、

かなり不思議そうに

さらに聞いてきた。

「もう、麻奈達のときみたいなことは二度とあっちゃいけない…。」

私は今度は

麻里ちゃんの方を

しっかり見て言った。

「…ねぇ吹雪ちゃん、約束の場所に皆がいなかった時どんな気持ちだった?」

麻里ちゃんは

まだ大きく目を開いて聞いた。

「……え?」

私は突然の質問に

何も言葉がでなかった。



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