ちっちゃな体のおっきな愛
先輩達
(はー……)
さっきのは…ヤバかったよなぁ…。
あたし、重かっただろうなぁ…。
「ヤッホー!!」
上から、声がした。
「愛莉~~。」
親友の、上草愛莉。
テニス部に所属してて、スタイルもいいし、運動神経もいい。
おまけに、可愛いし、性格もすごく優しいんだ。
愛莉も、朝練から今返ってきたところ。
「まーた、連と何かあったんだ??」
「え、分かっちゃった??」
「あんたが考えてることなんて、大体分かる。」
さすがはわが親友…。
「連に…抱きしめられちゃった…。」
「は?何言ってんの、あんた?」
「いや、実は…。」
と、話そうとした時に、鐘が鳴った。
「じゃ、後で聞くわ!!」
「あ、うん!」
愛莉がどいた時、同時に連が座った。
「大丈夫…?」
「え…?」
「さっき。思いっきり、転んでただろ?」
心配してくれてたんだ…。
「あ、うん。大丈夫…!!」
「ま、とにかく怪我しなくて良かったよ。…もう少しで、俺らと先輩達の、最後の試合…だろ?」
そっか…。
この試合が終わったら、今度はあたし達の中で部長が出てきて、だんだんあたし達が部を引っ張って行くことになるんだ。
先輩達と出来る、最後の試合。
つまり…ラスト・ゲーム…。
けがは、絶対に許されない。
それは、連も同じことだよね。
「ひな?」
「…え?」
「次の試合の相手…。」
ガラガラ。
その時、担任が入ってきた。
連も、前を向く。
連、一体何を言いたかったんだろ…?