空へ。‐夢の先‐

夢の始まり

龍「…成二、」


成二「あ?」

成二(せいじ)っていうのか、この不良。



龍「俺に文句言うのは構わないがここにいる人間に迷惑だけはかけんな」


成二「…………」



成二と呼ばれた不良はしぶしぶあたしの手と沢木さんの服を振り払った。

小さく
舌打ちしながら。


何だコイツ。




「…ありゃ!この空気遅刻じゃないんじゃね?☆」


「よっしゃー!!うちらナイスプレー☆」


ふとホテルの入り口の方からした声に振り返ると

そこには中学生くらいの2人の女の子。



1人は金髪とピアスが光るザ・ヤンキーという感じで、

関西弁のもう1人は体はかなりぽっちゃりしているが顔は可愛い子。



陽気にみんなに挨拶したり、沢木さんに甘えたりする2人を見て、沢木さんは



龍「遅刻だバカ!」



そう言って呆れたように目を細めた。



─────────…



「じゃあスカウトなんすか〜!!」

「綺麗ですもんね!」


スタッフさんに連れられて乗り込んだバスの中。


さっきの2人の中学生と隣になった。

2人とも思いの外いい子で、麻姫と同い年なのに結構話が盛り上がった。



ヤンキーのほうは里緒(りお)、
関西弁のほうは沙也香(さやか)というらしい。



里緒「あたしはたまたま親戚の家にいて、ノリでオーディション受けたら受かったんすよ!」


沙也香「うちは…、」


里緒「コイツは携帯で応募できるどっかの事務所のオーディションの不合格者データ見て連絡来たらしいっす!」


沙也香「何でお前が全部しゃべんねん!」
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