年上王子様とのアリエナイ××①
何を食べても、何を飲んでも
何も感じられない
ただ思い出すのはさっきのおじいさまの言葉だけ。
翔さんはまだ戻ってこない。
この広い会場でひとりぼっち。
あたし・・帰ろうかな
コレ以上ここにいたら絶対に泣いちゃうもの。
悲しくなるだけだもの。
それだったら
もういっそ帰ってしまった方が
「柚子様?」
ぽんと肩をたたいて榊さんがあたしに声をかけてくれる。
「榊さ」
「いかがなさいました?」
優しい声に我慢していたものが溢れそうになる。
「あたし、あたし」
ダメだ、ここで絶対に泣いたら・・
「柚子様、こちらへ・・翔様がお呼びです」
「翔さんが?」
「はい、おじい様に会わせたいと」
「あたしは」
だって会ったらきっとまたあんな風に言われてしまったら
翔さんは
「柚子様?」
「ごめんなさい、少し具合悪くて..」