年上王子様とのアリエナイ××①


会えないよ。


翔さんにこんな顔で

会えない。


「では翔様に」

「いいえ、一人で帰ります」

「しかし」

「お、ねがい、です、..一人にして」


榊さんのスーツの裾を掴み必死でお願いする。



「かしこまりました。ではすぐに車を用意します」

「はい」


榊さんはお辞儀をしてすぐに電話をしてくれた。


あたしは逃げるように会場を後にした。



ごめんなさい、翔さん。


もっと自分に自信を持てたはずだった。


昨日、翔さんから貰った言葉で大丈夫、

そう思ってたのに。

決心して此処まで来たのに..


「ごめ、ごめんなさい、ごめんね」


届くはずのない言葉を流れる景色を見ながら何度も何度も口にしていた。












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