二 億 円



私は急いで帰宅しました。



そしてスーツに着替え、父親に車を出してもらい、ある所へ向かいました。



「珍しいな。彌生が私に頼み事なんて。」


父親とは余り会話はありませんでした。


別に仲が悪いわけではない。ただ、父親と言うよりも上司という意識がありました。



「初めて欲しいと思う【モノ】を手に入れるチャンスなので。」



嗚呼、今でもこの時の胸の高鳴りを覚えていますよ。



真っ白な肌    柔らかな髪の毛      澄み切った瞳     真っ赤な唇







全てが愛おしくて




全てを手に入れたかった



だから私は罪を犯して




十年という月日をかけて




私だけのお人形さんに仕立て上げてもらいました。



純粋無垢な貴女を





二億で買う、と契約をしました。
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