二 億 円



貴女の父親はとても怒り狂っていましたよ。


娘を二億で買う?ふざけるな、と。


ですが、大人の怒りを鎮めることなど容易いことでした。


私の父が誰であるか分かった途端、何も喋らなくなりました。

まるで壊れた玩具のように、カタカタと震え、口をパクパクさせ、私に娘を買ってくれと懇願してきたのです。



此処にいても幸せにすることは出来ない。普通に接してあげることが出来ない、と。


なら、私に買われて過ごした方が幸せになれるかもしれない、と。


私は笑顔で言ってあげましたよ。





「ええ、幸せにしてあげます。」とね。
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