二 億 円



どうしよう、と思っていても部屋から出ることが出来ない為どうすることも出来ない。



ただ、時間だけが過ぎていく。




「出して下さい!彌生様…!!」



扉を叩き、大声で訴えても全く開く気配はしない。





「……日向少年。逃げて。」




お願い通じて。逃げて 逃げて ニゲテ。


満面の笑顔で私から去っていった日向少年。


彌生様にはバレてないって安心しきっていた日向少年。




でも、全てバレていたよ?




私だけ、罰に合うならいい。
私が、我慢すればいいから。




「彌生様!!彌生様!!私がっ…私が悪かったです!!もう言い付けを破ったりしませんから…


彌生様だけ、彌生様とだけしか口を聞きませんから…だから、…許して、下さい。」





悔しかった。私は悪くないのに、こんなに一生懸命許しを請わなければならないなんて。




でも、そうするしかなかった。


そうすれば、日向少年はきっと…





キィィィ 。





「素直な子は好きですよ、ひなた。」




口元を弛ませた彌生様が、ゆっくりと扉を開けた。



無の空間には光が差し込む。





「素直な子猫ちゃん。今日は此処で楽しいことでもシましょうか?」




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