溺愛プリンス
「……」
なんで……こんな事に……。
あたしは自分の部屋のキッチンで、なぜか肉じゃがを作っていた。
もちろんそれは、ハルにご所望されたからで……。
鍋の中でグツグツと煮える野菜たちを睨みながら、小さくため息をついた。
「ほう。結構うまそうだな」
「ひゃっ!?」
肩口からいきなり声をかけられて、思わず肩が跳ねた。
慌てて振り返ると、後ろからあたしを覗き込んだハルと目が合う。
「なんだ?そんな色気のない声を出して」
「……」
キョトンと首を傾げたハル。
彼の動きに合わせて、柔らかな髪がサラリと落ちた。
瑠璃色の瞳が、不思議そうに瞬いた。
「い、いきなり声をかけられれば、誰だって驚きます!それにっ、色気色気って……」
どーせあたしは女らしくないですよ!
「なにをそんな怒ってるんだ?」
「怒ってません!」
腹立つなぁ。
でも、悔しい。
顔が、熱い気がする。
……それにしても。
なんで、あたしの手料理を食べたいなんて言い出したんだろう。
家庭の日本の味が知りたい、なんて。
「……!」
お鍋の火を止めると、いきなり後ろから腕を回された。