溺愛プリンス
「は、ははは、は!!?」
ハル!!?
真っ黒な髪。
瑠璃色の瞳。
えらそうな態度……。
「なに笑ってんだ。気でも触れたか」
「笑ってません!」
な、なんでハルがここに!!?
昨日、テレビでどこか知らない国で公務こなしてなかった!?
「……」
驚きのあまり固まってるあたしをしり目に、ハルは優雅に座椅子に腰を下ろす。
テーブルの上の料理はもう準備されていて、仲居さんはいなくなっていた。
突っ立ったまま見つめていると、お猪口を手にしたハルがジロリとあたしを見上げた。
ビク!
「なにボサッとしてる。お前ももう飲めるんだろ」
「え?」
そう言ってクイッと何かを指示されて我に返った。
お酒を注げと?
―――……む。
カチンと来たけど、言われたまま冷酒を手に取った。
そのまま近くに座ると、ハルから石鹸の良い香りがした。
お風呂……入ってきたんだ。
いつもの高級そうな香水の香りがしない。
「……」
なにこれ……ヤバい。
久しぶりのハルに、なんだかすごく緊張してる自分に気付いてしまった。