溺愛プリンス
胸が、ドキドキうるさい。
少しでも落ち着かせたくて、服の上からギュッと抑えた。
みんなの人気者で、キラキラしてて……。
ほんとのハルなんて、いつも偉そうで、俺様で、わがままで……。
ううん、違う。
時々、見せた知らない顔があった。
寂しそうに笑っていたのは、心の底にまだ知らないハルがいるの?
ハル……。
「助けてくれるわね? 志穂」
……でも……。
「でもあたし……、なんの力もないです」
「あるわ!」
フルフルと首を振ると、ベスはかぶせるようにそう言った。
「志穂は、ハルが好きなんでしょ?」
「……………」
「なによ、違うの?」
「好きです! ハルのこと、大事に想ってます。……でも、あたしなんて庶民だし……。
ハルとは住む世界が違うし……それに、」
「ウダウダ言わない!」
「!!」
ガタッと突然立ち上がったベスは、ツカツカとあたしに歩み寄りその勢いのまま両肩を掴まれた。