溺愛プリンス


意味がわからなくて首を傾げると、クロードさんはクスリと笑った。




「昨夜差し出された”選択”に、志穂さまは答えを出された」

「…………」




それって、ベルト王に”ハルの前から姿を消せ”って言われた事かな?
クロードさん、知ってるの?


あたしは、キュッと唇を噛みしめるとクロードさんを見上げた。



「あたしどうしても、ハルに逢いたいんです」



林檎を持つ手に力がこもる。
あたしの視線を受けて、クロードさんはもうひとつ林檎を手に取った。



「…………」


「これが正しいのか、わかりません。
……でもあたし、ハルに逢いたい。ハルのそばにいたい。

……この気持ちだけは、ずっと変わらないんです。だから……」


「私は、」



あたしの言葉を制するようにそう言ったクロードさん。
そこで、やっと自分が肩で息をしていたのに気付く。



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