溺愛プリンス





ハルに手を引かれ、2階のいちばん奥の部屋に連れて来られた。

淡い若草色の壁紙に、白い家具で統一された優しい雰囲気。
ファブリックお屋敷の豪華な調度品はなにもない。

出窓には薄いレースのカーテンが引かれていて、外からの日差しが柔らかく降り注いでいる。


素敵なお部屋……。




「ここは…………っ」



突然後ろから抱きすくめられ、ビクリと固まってしまう。



「――俺の部屋だ」

「そ、そうなんですね!す、すごく可愛いお部屋で、なんて言うか……」



ハルは可笑しそうに喉の奥で笑うと、低く耳元で囁いた。



「似合わない?」

「ッ、」



別に何をされたわけじゃない。
それなのに、思わず息を詰まらせた。

ハルはそんなあたしを知ってか知らずか、さらに腕の力を込める。

首筋に感じる息遣い。
頬にかかる柔らかな髪の感触。

ハルの……、体温


ああもう、心臓がドキドキして……爆発しそう。




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