溺愛プリンス


お城の中庭に、ハルに手を引かれたままやってくる。

緑が眩しいその庭には、色とりどりの花が咲いていて。
髪を撫でる風にのって、甘い蜜の香りが鼻腔をかすめた。




「でもほんとにびっくりしたよ。 ベスとマルクさんが結婚だなんて」




そうなのだ。
今日の結婚式の主役は、あのふたり。



そして、王位継承権を放棄した後、それを引き継いだのがベスで。
この国に、初の女王が誕生したのだった。


サバサバしてるあの性格のベスは、裏表なんかなくてみんなから好かれていた。
だから、ベスが王位を継ぐとなった時に反対する人はほとんどいなかったのだそう。



そして。
王様もジュリオットの兄、マルクがベスとの結婚を進言したらすぐに首を縦に振ったらしい。

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