白い気球の赤いベル
第三章「ブービー賞で」
テレビに映る地方都市に入学した私は、それまで経験した中には無いような、不快感と居心地の悪さを経験した。

新しい環境に馴染もう、と思っていた、田舎時代の三月。

いつも緊張感があり、声が大きく出ない四月。

居心地の悪さに耐えられなくなり、仮病を使い休んでしまった五月。

普通は「いじめ」が発生すると事ゆをブービー賞で気付いた六月。


自分に回ってきた七月――

誰にでも回ってきてしまう役。私には回ってこないでしょう、と何処かで腹を括(くく)っていた過去の自分。だけど現実は回り持ちするように、ある日、自分自身に回される事になる。だけど桃太郎を羨ましく思ったりしない。だって、桃太郎には桃太郎の役割がある。

鬼を必死で捜す役。
それが世間なんだろう、きっと。
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