恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
「…ごめんね。」
優介先輩が、曇った空を見上げながら呟いた。
「…なにが、ですか?」
先輩が何にたいして謝っているのか分からなくて、私は首をかしげた。
「柚杞ちゃん、昨晩、眠れなかったんでしょ?」
優介先輩のとは思えない鋭い目つきで聞かれて、私は優介先輩から視線をずらさずにはいられなかった。
「…違います。優介先輩のせいじゃ、ありません…。」
私は俯いたまま、小さな声でそう言った。
「…柚杞ちゃんは、優しいね。」
…その声が、あまりにも哀しさの色を帯びていて。
私は思わず優介先輩の顔を見た。