恋迷路〜マイゴノコイゴコロ〜
ふふっと笑い声が聞こえる。
…そのあと、声の主は寂しそうに言った。
「…智晴だと、思った?」
「…優介先輩…。」
どう答えていいのか分からなくて、私はぐっと喉を詰まらせた。
「…ごめん。今の、意地悪だったね。」
少しだけ申し訳なさそうに、優介先輩は微笑んだ。
「…これ、優介先輩のですよね?…ごめんなさい、お借りしちゃって。」
セーターを着ただけの優介先輩を見て私は思い出して、あわててブレザーを先輩に返した。