恋迷路〜ﾏｲｺﾞﾉｺｲｺﾞｺﾛ〜
しばらくしたとこで、智晴先輩と合図を取り合って、私たちは二人と離れた。
人もすごい数だから、はぐれるのには苦労しない。
｢あー疲れた。やっぱ人混みはムリ。｣
すごく不機嫌そうな顔で、智晴先輩は呟く。
｢なんか…ゴメンナサイ。｣
こういう方法を提案したのは私だし…。
謝ると、一瞬きょとんとした顔をしてから、智晴先輩は…
笑った。
｢なんでアンタが謝るんだよ。友達思いって、いいことじゃん？｣
…先輩の笑顔が眩しくて。
嬉しくて嬉しくて。
だけど同時に…
それ以上の切なさと苦しさが襲ってくる。
先輩の笑顔に、舞花の笑顔が重なってしまったから。
先輩は…
いつも舞花にこんな笑顔をみせているんですか…？
舞花は、いつもこんなにも眩しい笑顔をひとりじめしているの…？
込み上げてくる痛みと言葉を飲み込んで、私は笑う。
今は…
この空気を失いたくない。
もう、壊したくない…。
