God of Death
『確実に死んだ方がいいってときに使われるA級死神の中で、一番使われてるのはエミヤ、お前だ。人が死にすぎても世界のバランスが取れなくなるらしいから、最近はB級死神もよく使われてるそうだがな……キシシ』
 鎌の言葉の後半は、半分に聞いていた。エミヤにとって、他人のことはどうでもいいからだ。
 エミヤは、血溜まりを踏んで歩くのをすっかり堪能したあと、思い切り地面を蹴って空中を舞った。血が、ピシャッと飛び跳ねた。

「次の場所は何処だ? 道路か?」
 エミヤが夕焼けに染まる街を見下ろして、先程よりも少し弾んだ声で鎌に訊いた。
『いや……病院だ。不治の病ってやつか? 若い女が病死だ。キシシ』
「若い女? 珍しいな……」
 エミヤ達、A級死神の大抵の仕事は、歳をとった人間か、前科のある人間だ。B級死神にも歳をとった人間の仕事を任されることはあるらしいが、ほとんどがA級死神に回される。

「じゃあ、早めに終わらすか。出来るだけたくさんの仕事をこなしたいし」
『ああ。大分遠いが、お前の速さなら十分程度で着くだろう、キシシ』
 鎌がそう言った瞬間に、エミヤはその場からシュンッと消えた。
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