パンドラの箱
「今日どうするの?」
靴のかかとをトントンとしながら海斗へ言葉をなげかける。
海斗の視線は相変わらず携帯に向いたままだったけれど、本屋と短い返事が返ってきた。
「あたしも欲しいのあったんだっけ」
独り言のように言ったため海斗からは何もいわれなかった。
昇降口を出てあたしは海斗の半歩後ろを歩く。
いつからか当たり前になったこの距離。
この距離を苦しく思うようになったのはいつだっけ。
海斗と付き合いだしてもう4ヶ月。
あたしは海斗が好きだけど海斗はあたしを好きでも嫌いでもないと思う。
ねぇ、あたしの気持ち
気づいてる?
こんな台詞を海斗に言おうものなら即座に振られる自信がある。
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