Love Water―大人の味―
「でも、あんまり会話に入ってないみたいよ?
……ねぇ、侑志君」
梨華がそう言って同意を求めたのは、あたしの目の前に座る銀行マン。
途端に冷や汗がダラダラ流れ出す。
なんで男にフルのよー!
聞かれた侑士君はと言えば、人懐こい笑顔を浮かべて頷いた。
「うん。雨衣ちゃんって大人しいんだね」
「えっ!? 大人しいわけでは……」
「そうよ、侑士君。この子今は猫かぶってるだけで、会社ではうるさいんだから」
「へぇ、意外。緊張してるのかな?」
「ち、ちがっ……」
ありもしない梨華の嘘を、否定するタイミングさえ逃してしまう。
目の前の彼は、面白そうに身を乗り出した。
すると、それにつられるように周りの視線も一気に集まる。