Love Water―大人の味―
慌てて家に帰ってシャワーを浴びて、会社に行く支度をする。
そこで気づいたことがひとつ。
なんとあたしの部屋の隣は、桐生部長の部屋だった。
表札に『桐生』って書いてあるのは知ってたけど、まさか桐生部長だとは思わなかった。
一度も会ったことないし。
さしずめ、昨日帰ってきた時間からして、あの時間まで仕事をやっていたのだろう。
残業常習の彼だから。
もしくは……女。
部長に彼女がいるなんて噂は聞いたことないけど、彼だって男だ。
それも、端からみればとびきりいい男。
通う女がいたっておかしくない。
……意外にも社内恋愛とかしてたりして。
なんてことを思いながら、会社に着いたのは遅刻ぎりぎりの時間。
急いで企画部のある3階のフロアまで歩く。
あたしは企画部3年目。
短大卒業と同時にこの会社に入社して3年。
新人からも頼られるようになってきて、やっと先輩になってきたかなっていう頃。
仕事はまだまだなんだけどね。