Love Water―大人の味―
「おはよう」
デスクに着くと同時に、隣のデスクから顔を上げてあたしを見る梨華。
「ちゃんと来たわね。
あんたのことだから絶対二日酔いで来ないと思ってたわ」
「あははは……」
本当はものすごく頭痛いです、とは言えずに苦笑いをする。
一応記念梨華と別れたあと、あたしはそのまま家に直行していることになっているから、あまり二日酔いのそぶりは見せられない。
今日は辛いな、と思いながらイスを引く。
「ん?ちょっと雨衣、髪ぼさぼさよ。
化粧も手抜きじゃない」
梨華の言葉にどきりとする。
鏡を見た時、確かに女の子としてちょっとやばいかなと思った。
内巻きのダークブラウンの髪は毛先がぴょんぴょんはねていたし、化粧も今日は肌と目元のみ。
「ね、寝坊しちゃって……」
さりげなさを装って言うと、梨華はあっさり納得した。
「まぁ、失恋して何事もなく出勤するのは無理よね。
一応あたし達もまだ青春時代だし」
「そうよ!」
親友の言葉に大きく頷く。