Love Water―大人の味―
その時にはもう、涙が頬を伝っていた。
何をしているの。
どうして他の男の家でお茶をご馳走になっているの。
おかしい、
おかしい。
彼にフラれたのよ、あたしは。
なのにこんな、
「かわり身、早いみたいじゃない……」
唇を噛み締めるのは、自分に対して悔しいから。
……こんなにもすぐに、彼を忘れてしまっていた。
あたしにって、彼はナンダッタ?
浅い呼吸を繰り返して、玄関でパンプスをはく。
そしてドアに手をかけたとき。
ついさっきと同じ状態。
顔を上げる。
眉を僅かに寄せてあたしの手を掴む彼は、残酷な言葉をその口からはいた。
「フラれたのか」