Love Water―大人の味―




そんなことを思っているうちに話は完ぺきにそれ。



サンドイッチを食べながら、たまにぽつぽつと会話したあたし達。



結局、10時前には会社をあとにしてマンションへと帰った。



当然、同じマンションで隣の部屋なわけで、帰る道も全く同じなんだけど。



周りに会社の社員がいないか、必要以上に気を張ってしまった。



…だって、桐生部長と2人きりでいるところを見られたら次の日から会社に居づらくなりし。



そんなのたまったもんじゃない。



あたしがビクつきながら歩いているのを見て、部長は「面白い」と言っていた。






部屋の前に来て何か言われるのかな、と身構えていたけど部長はあっさりと「おやすみ」とだけ告げて中に入っていった。



ようやく肩の力が抜けたところで、再び開かれる彼の部屋のドア。



「土曜日、忘れないように」



「…………」



念を押した部長は、今度こそ部屋の中に消えた。




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