Love Water―大人の味―



まただ。



またあの瞳だ。



どうしてこの人は、こんなにも目力があるのだろう。



他の女子社員だったら、こんな瞳であんな言葉を言われたら、卒倒しているだろう。



だから、余計に焦る。



「ど、土曜日は予定がっ…」



「却下」



「ええっ!」



こうなったら意地でも、と思ったがすんなり嘘だと見抜かれてしまう。



「あああ、あのっ!」



「サンドイッチ。コーヒーで大丈夫か」



「あ、はい……って」



「ほら」



「…………」



それどころか、この話は終わったとばかりにコンビニの袋をあさる部長。



渡されたコーヒーを握って、温かい…と思わず和んでしまう。



はっ気づいた時には、部長はちょっとだこ口角を上げて笑っている……ように見えた。



……表情に乏しいのも困る。



『クールで寡黙』なんて言われているけど、実際会社外で相手をするとなると結構きつい。




< 93 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop