Love Water―大人の味―
まただ。
またあの瞳だ。
どうしてこの人は、こんなにも目力があるのだろう。
他の女子社員だったら、こんな瞳であんな言葉を言われたら、卒倒しているだろう。
だから、余計に焦る。
「ど、土曜日は予定がっ…」
「却下」
「ええっ!」
こうなったら意地でも、と思ったがすんなり嘘だと見抜かれてしまう。
「あああ、あのっ!」
「サンドイッチ。コーヒーで大丈夫か」
「あ、はい……って」
「ほら」
「…………」
それどころか、この話は終わったとばかりにコンビニの袋をあさる部長。
渡されたコーヒーを握って、温かい…と思わず和んでしまう。
はっ気づいた時には、部長はちょっとだこ口角を上げて笑っている……ように見えた。
……表情に乏しいのも困る。
『クールで寡黙』なんて言われているけど、実際会社外で相手をするとなると結構きつい。