苦い舌と甘い指先

本当に猪突猛進と言うか、なんと言うか。

目の前の出来事が気にくわないとすぐに自分を見失っちまう。


そんで



「キスって…今の？瞼にまつ毛が付いてて、取って貰ったんだけど、ソレの事？」



「へ？」


夏輝の怪訝そうな表情に凍りつきながら



「か…カンチガイデシタ…スミマセ…ッ」


そう言って頭を下げる事になる。



「あー。やっぱり“なんかにゴミが”パターンだったね。

ジュノ、乙」


「お前は飄々としてんじゃねぇよ！」



乙とか言ってんじゃねぇ。


ギロリと睨んでやってから、改めて夏輝に向かって頭を下げた。


「…ゴメンな、一人で何か色々と…」


「…ううん。いいの。それに…なんか、考えさせられたし…」


「…………」



そうだった。勢いに任せて、すげぇ事言ってた気がする。


あたしのおこぼれ、とか　結構キツイ事言ってた。


それでもこうして笑顔を向けてくれる夏輝って、凄い。


凄い、けど




気ィつかわれてんだなって分かるんだ。